遠きみやこにかへらばや

非常時の空気が、東京でも濃密になってきた。

宝塚や歌舞伎のツイートを見かけるたびに、ああまた公演中止か、と思ってしまう、ことに慣れてきてしまった。宝塚は今回が新トップお披露目公演の組がふたつあって、片方は初日の幕すら上がっていない。でもこんな状況じゃ、期待もできない。

せめて役者さんが、生徒さんが、すこやかに過ごしておられるように祈るしかない。

 

できるだけ淡々と、いつも通り毎日を過ごしたいと思うけど、少し前とあまりにも違う世界線に迷い込んでしまったようで、感情が追いついていない感じ。

わたし自身の生活はそんなに変わっていないんだけど。在宅で仕事をして、なるべく人に会わず、外に出ない。でもいつまで続くのかわからなくて、いつも通りにしているしかできることがなくて、頭がふわふわしてしまう。

こんなに時間があるならやりたいことたくさんあるはずなのに。本を読むとか、読んだものをまとめるとか、フランス語の勉強とか。あんまりそんな気分になれない。

 

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買ってきたフリージアが綺麗に花開いて、それがいまの癒し。黄色いお花ってあんまり自分では選ばないから、新鮮だ。ぱっと部屋が華やぐし、通りかかるとつい香りをかぎたくなる。

 

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人間たちの騒乱なんて涼しい顔で、桜は堂々と咲き誇る。

長年住んでいた心のふるさと日本橋に、およそ6年ぶりに戻ってきたのだけど、この街はやっぱりおだやかにあかるくて好き。大学卒業とともに出てしまったから、中央区に納税するのは初めてだな。

不幸中の幸いを数えがちだけど、いまこのタイミングで好きな街に帰ってこられたのは幸運だった。

 

人生は愉しむためにあるのだし、相手が男であれ女であれ、会いたいと思ったときに会いたいし、そのときにしか行かれない場所、見られないもの、のめない酒、起こらないこと、がある。(江國香織

人生は愉しむためにある、って気持ちだけは失わないようにしないとね。