人生初めての占いで泣いた話

ここ数年ずっと悩んでいることがある。それは数ヶ月に1度くらい、何かの症状のように現れては消え現れては消えていく悩みなのだけれど、ずっと悩んでいるだけで行動に移さないからその程度、とも言えるし、ずっと悩んでいるくらいなのだから本当によほど、とも言える。

多分これは周りの人に納得してもらえると思うのだけど、私はあまり占いに興味はないし信仰心(宗教に対する、ではなくむしろ人間の発する言葉に対して)は低い方だと思う。
けれどたまたま、ひょんなことから占ってもらうことになった。

土曜の午後を友人とべったりまったり過ごしていた私に、合流した友人が「占いできるバー行く?」と土曜の夜に相応しい提案をしてくれて、連れて行ってもらった。
よくある雑居ビルのバーで、案外明るかった。占いってきくと陰気なあやしい人がいるイメージだったけど、朗らかな初老の方がきびきびと動いてらして。
「おくすり」というアルザスの奥深くの修道院で作った薬草で出来たカクテルをいただきながら、頭の中ではGo!Go!7188の「おとなのくすり」が流れる。ちなみに「おくすり」はものすごく複雑だったけど、後を引くお味だった。また飲みたい。

ひと段落したところで、カウンターに座る私たちにマスターが「そろそろ始めましょうか」と声をかけてくれる。
妙齢の悩み多き女性3人、占ってもらうトピックには事欠かないけれど、友人二人は恋愛、私は人生についてタロットで占ってもらった。
ひとりひとりへの占いスタイルが異なって、ギリシャ十字とかケルト十字とか(うろおぼえ)使用するタロットの枚数とその配置がぜんぜん違っておもしろい。
タロットの持続効果は3ヶ月程度とのことで、9月くらいまでの指針をもらった。

本当に全然占いなんて信じてないし、それまでカウンターでわあわあ喋っていた私たちの会話を聞いてそこから出てきたタロットの意味と掛け合わせてストーリー展開してるんじゃないの、とか穿った見方を思わずしちゃうのだけれど、それでもそのときマスターが言ってくれたタロット占いの結果は、私が冒頭に書いた悩みを考える中で言葉にしないけれど頭のどこかでうっすらと予感していることを予言していて、見透かされているという驚きと背中を押してもらったことへの安堵、喜びが大きくて泣きそうになった。
近しい人や大切な人の言葉にももちろん救われるときがあるけれど、こういうその時通りすがった人から貰った言葉って関係性という文脈がないから余計に色濃く印象に残る。頭の中でぴかぴか光っている。
私も誰かにとってそういう言葉を残せる人になりたいなあ。

普段自分から見ようとしないもの、行かないところ、に連れて行ってくれる友人や偶然や時間は本当に尊いな、と思いながら帰る足取りがとても軽かった。