六月みたものよんだもの

6月はありがたいことにチケット運がやたらと良く、めちゃくちゃたくさん観劇に行った。

観劇や読書の後はノートに頭の中にあることを書き殴っているのだけど、後から読んでもよくわからなかったりするのでブログにまとめてみる。

 

サムネ用にコラージュしてみたらカオス。

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お品書き

6/2 三谷かぶき 月光露針路日本@歌舞伎座午後の部

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原作『風雲児たち』、三谷幸喜作・演出、高麗屋三代総出の新作。初日近くと楽近くを見物しようと思っていたけれど、結局この一回のみとなった(仕事内容が変わってから直前に行けなくなることがたまにあってそれだけがつらい…)。

スーツ姿の尾上松也、続いて松本白鸚を目にし、ここは日比谷か?と思って笑った。澤瀉屋松嶋屋幸四郎の両脇を固め抑揚をつけていて、歌舞伎の外の世界での活躍が今回の作品に活きているように思った。どこまでアドリブかわからないけど抑揚のつけ方がうまい。

染五郎の磯吉はニン。初めはぼろぼろの格好をしているが、むしろそれが器量の良さを際立てる。ボロを着てても顔がいいと目立つ。語学を習得することで自信をつけていき、表情が明るくなっていくところにリアリティがあってよかった。

ロシア娘と犬ゾリの演出は大いに笑わせてもらった。こういうところはさすが三谷というべきか。

高麗屋ってほんとに恵まれてるなあとつくづく思う。

 


6/4 モーニング娘。Best Wishes@武道館

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20年ぶりにモーニング娘。にどハマりして3ヶ月、オタクの周りにはオタクがいるものでハロプロ好きな友達に誘ってもらいツアーへ。

佐藤優樹さんが好きなのでひたすら目で追いかけていた。最初の曲がWhat is love?で、初めからクライマックスだった。他のメンバーが汗びっしょりで髪型変わりつつあるのに佐藤優樹さんだけなぜか涼しい顔でサラサラヘアーを維持していて不思議。

佐藤優樹さんは一人でイケメンからかわいこちゃんまでこなせるオーラの塊だった。ゆ、YouTubeでみたことあるー!!!と何度内心叫んだか……。

帰り道、美味しいご飯を食べてあったかくして寝て幸せでいてくれ~~と佐藤優樹さんに対して勝手につよく思ったことを覚えている。好きな女の子には全力で幸せでいてほしい。

 


6/14 映画キングダム

キャストの顔面偏差値が高すぎるというので映画化を機に漫画を途中まで読んで、悪友と映画鑑賞。金曜夜のレイトショーは最高。

公式が同担というか壁サー状態で解釈が完全に一致というかむしろ強化してくるし、かつ美を過剰摂取してしまったためしばらく「画力が強かったね……」としか言えなくなる。千円ちょっとでこんな日本の国宝レベルの顔面美を摂取していいのか?採算あってますか?

ただただ吉沢亮長澤まさみの顔がいい。長澤まさみにあの衣装を着せてくれた人ありがとう……。太もも!!!強めのメイク!!!

 


6/15 東宝エリザベート

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今年の夏一番のイベント、エリザベート。一回めはお花様のシシィ、古川雄大のトート、三浦涼介のルドルフ、山崎育三郎のルキーニ。

お花様シシィがどんどん貫禄をつけていくさま、すごい、無邪気な小娘が皇后になっていく…。憂いというか厭世の感を滲ませたシシィ。衝動的に死にたいわけではなくて、いつもちょっとずつ死にたいという気持ちを湛えている。

古川雄大のトート、黄泉の帝王でありながらどこまでも男性的にシシィを求めているように見えた。人間的と言い換えてもよい。若干黒執事を彷彿とさせるけどとにかく顔が綺麗。そしてベッドに飛び乗るたびにベッドずれないか心配になるけど、壁ドン演出が入ってて大変おいしいです。。。

三浦涼介は1789のロベスピエールるろ剣の四乃森蒼紫と三役目なのだけど、また全然違う表情を見せてもらった。ルドルフの不安げな表情、どこまでいっても孤独、何かに縋りたい、という強い気持ちが観ていてひりひりするくらい伝わった。ゆんトートとりょんルドルフ、絵面が強すぎる。耽美派か。

いっくんルキーニはさすがの安定感、あの下卑た感じを出しながら器用にこなしている印象。

エリザベート、観客がよく訓練されているのでみんなオペラグラスを持つタイミングが揃ってて一人で笑ってしまった。

 


6/17 東宝エリザベート

15日との差分はちゃぴシシィ、木村達成ルドルフの二役。

ちゃぴシシィ、陰陽のコントラストがかなり強い。どちらかというと史実に近いのはこっちなのかもな、と思った。前半が極端に明るい分、放浪を始めてからのシシィの鬱屈とした感じがより強く感じる。

木村達成ルドルフは、三浦涼介よりももっと青年らしい溌剌さが残っていて、これはこれで好演。

しかし何度見ても夜のボートできちんと泣く。たぶんお互い愛し合っていて、愛してなくても大切に思っていて、でもその形が違うんだよね。

 


6/19 花組花より男子

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ご縁があって赤坂まで観に行けた花男花男、原作もドラマもほとんど触れたことがなかったので、劇場に行く道すがら一応原作を3巻まで読んで、えっこれどう考えても道明寺エンドじゃなくない??と思いながら観た。

しろきみさんの牧野、私でもわかる牧野感。しろきみさんはお顔立ちがはっきりしているので比較的気の強い役を演じる印象はもともとあるけれど、ここまである意味宝塚っぽくない、振り切った役はなかなか珍しいのでは。お歌の安定感が素晴らしいし、声の抑揚がうまい。きつめの台詞でもキンキン響かない。あと絶妙にお衣装がダサいのですがお顔が整ってるのでなんか…まあいいか…と思いました。

ゆずかれーさんの道明寺、とにかく頭が悪くて可愛かった。姉の話で突然てれてれし出すのも、漢字読めなくてみんなに突っ込まれるのも(流石をながれいしって読んだときはびっくりしたけど)、「牧野300万!」の横断幕を他のF4の皆さんに何とか持たせようとするのも、愛すべきおばかさんという感じ。途中の三角関係のときはもう道明寺目線でいろいろ考えてしまってつらかった……。かれーさんはいろいろ言われてるけど、私は声に感情を乗せるのがうまい方だなと思っている。芝居中にせよ歌にせよ。

ついつい目で追ってしまったのが、聖乃あすかさんと音くり寿さん。あんな美しい「まーきの」ある……?ふわふわして儚げだった花沢類がパリから帰ってきて突然男になってたので私は大変動揺しました。あと5分抱き締めるのは結構長いからな。

音くり寿さんはもう声が変幻自在すぎて、スパイスとして素晴らしいと思った。画面を引き締めることができる女優さんなんだなあ。

 


6/22 歌舞伎座午前の部

  • 梶原平三誉石切

吉右衛門さんと歌六さん、米吉さんの安定感。特に歌六さんのおやじが、湿っぽくなりすぎずでも情感たっぷりで素晴らしかった。米吉さんは最近よくガン見してしまう隠れ推し女形です。

 

  • 恋飛脚大和往来

前回から半年くらいしか経ってないけど、仁左衛門さんの忠兵衛。愛之助の八右衛門、関西弁が上手なのは当たり前かもしれないけど、憎たらしさが抜群だった。前回の鴈治郎さんよりねちっこくはないけどいらっとさせてくるというか。

秀太郎さんのおえんは何回観てもよいです。秀太郎さんポジション、今後どなたがなさるんだろう。あの京訛りを残してほしいなあ。

 


6/26 恋スルARENAライブビューイング

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たまたまチケットが当たって観に行けた。横アリ遠いのでライビュで充分ありがたかった…。

明日海りおさんの声でイエモンのLove Communicationを聴けたのが僥倖すぎて。「笑うしかないね」のところで肩をすくめるみりおさんがかっこよ美しすぎて……思考停止した。ちなみにこの曲は「君はシネマのヒロインみたいに」っていう歌詞があるのですが、私は「君は痴れ者〜」と勘違いしていて、痴れ者とか吉井和哉にめちゃくちゃ言われたいやん…と思っていました大学生の頃が懐かしい。

当日はかれーちゃんが出てきて、ひたすらかわいい大型犬のようにみりおさんに尻尾を振っていた。お水飲ませてたの何だったんですか…。あと突然「牧野は渡さねーよ?」からの港のヨーコ横浜横須賀~♪は全私が内心叫びましたね。。。なんなの花組マリンルック

あとうっかりポーの一族とカサノヴァの映像を見たせいで、みりゆきれい本当尊かったな…と思ってしみじみした。ゆきちゃんのことはまだ言語化できていない。

 


6/29 花組花より男子ライブビューイング

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これまたチケットが当たって観に行った。まさか2回観られるとは。1回目は衝撃を吸収するので精一杯だったので、ようやくちゃんと咀嚼しつつ観られた。

とにかくかれーちゃんの道明寺のはしゃぎっぷりがすごい、娘役に膝カックンする次期トップスターなんて今までいましたか…?

かれーちゃんとしろきみさんが息ぴったり、相思相愛の道明寺とつくしそのもので、観ていて照れました。。お幸せにな……。

観覧車の中で道明寺が熱を出してるシーンでかれーさんが汗を流してたり、道明寺に振られたつくしちゃんが本当に泣いていたり、ライビュじゃないと見られない細部まで見られてよかった。

 


6/30 宙組オーシャンズ11

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これまたたまたまチケットが当たって観に行った。実は花組以外を生観劇するのは初めて。

宙組さんは全体的に歌が上手で安定しててよかったです。芹香斗亜さんが最高の二番手でついつい見てしまった…。真風涼帆さんはいわゆる線の太い男の中の男、って感じなのに対し、芹香斗亜さんはやや線の細い中性的な美青年であった。お二人が並ぶとバランスがよい……。

 


6/30 クリムト展@上野都美術

3月にウィーンで見たクリムト、上野に来ていたので見に行った。めちゃくちゃ並んでてげんなりしたけど意外と回転が良かった。

前知識もあまりないし、人が多かったのでわりと流し見したのだけど、作品数が多くて見応えがあった。時系列で展示されているので、初期との比較ができて面白い。とくに初期に姪を描いた『ヘレーネ・クリムト』は、クリムトらしい装飾は見られないけれど独特のこっくりした雰囲気を纏って好きだった。

クリムトは女性関係が活発だったらしく、道理で官能的な画風と言われるのかと納得したけど、あんまりエロティックだとは思わないんだよなあ。なぜか。

しかし絵画って特に言語化しづらい。いろいろ見ているはずなんだけど、何がどうして好きなのかをなかなか分析できない。

 


他:江國香織を再読しまくった

そういうメンタルだったので一気に再読した。中一のときから江國香織のきれいな世界にときどき耽りたくなる。

  • 『いつか記憶からこぼれおちるとしても』

女子校育ちは絶対に頷いてしまう、ああこういう女の子いたな、のアソートボックスみたいな作品。私は一番柚に共感してしまう。あんなに素敵なボーイフレンドはいなかったけど。

  • 『思いわずらうことなく愉しく生きよ』

職業も恋愛の仕方もぜんぜんちがう三姉妹の話。家族という共同体で、ばらばらに見える数人がひそかに共有している習慣や癖がものすごく好きなのだけど、江國香織を読んできたせいだとおもう。次女の犬山治子がとくにお気に入り。

  • 『号泣する準備はできていた』

江國香織入門編の一冊。この一文をずっと噛み締めて生きている。

« 誰かを好きになったら注意など怠り、浮かれて、永遠とか運命とか、その他ありとあらゆるこの世にないものを信じて、さっさと同居でも結婚でも妊娠でもしてしまう方がいいのだろう。 »

  • 『ぬるい眠り』

江國香織の短編集のなかで一等すき。とても短い夫婦喧嘩の話とか、あまりに現実味を帯びすぎていて読むたびに笑ってしまう。江國香織はいろんな女を描くのが得意だけど、あるタイプの男性についても残酷なまでに写実的に浮かび上がらせてくるので、時折登場人物が知り合いにいたような気すらする。

 

さすがに切符代で破産しそうなのでこの夏はおとなしくする予定(当社比)。あとはみりおさん退団公演のチケットさえご用意されれば、年内思い残すことはありません…神様よろしくお願いします……!