the happy few

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181014

日曜日。前日寝入るのが遅かったため、苦労しつつなんとか起床。小さい頃から朝は弱くて、早起きはできるけど得意ではない類のものだ。

歌舞伎座までドアトゥドアで30分以内のところに住み続けたいな、と思いながら急ぎ木挽町へ。十月歌舞伎の幕見を狙う。贔屓のうち二人、七之助丈と己之助丈が出演している三人吉三がお目当て。

大行列で中村屋の人気を思い知る。外国の方が多いのはいつものことだが、今日は特に多いように感じる。一度英語の字幕ガイドを見ながら観劇してみたい。今の日本人すらなかなか理解しづらい台詞をどう英訳しているのか興味がある。

 

立ち見ではあるが無事に観劇して、所用を済ませに三越へ。一時期毎週のように伊勢丹に通っていたが、自宅から遠いので最近はもっぱら三越ユーザーである。日曜のランチタイムはほぼ唯一買い物に適している時間。来週、シンガポール在住の友人とベトナムで落ち合うので、日本の味を何かしら持っていこうと目論んでいる。美味しいものが好きなひとが好きだ(彼女は食に対して、笑ってしまうくらい強欲すぎるけど)。

 

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中央区に長いこと住んでいたので、そこはかとない郷愁の念を感じて洋菓子ウエストの銀座にある喫茶室へ。昔は四十代から六十代くらいのおばさまがメインだと思っていたが、最近は案外若いひとがいてよく賑わっている。昔から馴染み深いお店が繁盛しているのは嬉しいことだ。

このお店はよく混むわりにゆったりとしていて、全然急かされないので居心地がいい。何か書きものをする妙齢の女性、新聞を広げるおじさん、あとはおしゃべりに花を咲かせる老若男女。顔ぶれは違うはずなのに、だいたいいつも同じ割合でいる人々。

キッシュを初めて食べたのはこのお店だったような気がする。誰が見てもわくわくするケーキのサンプル(木製のトレーに所狭しと並べられている)はとても夢があって、つい見せてもらってしまう。

幼い頃、母は厳しかったけれど、思い返せば色々と美味しいものを食べさせてもらった。祖母と母と来た記憶のある喫茶店はここと、銀座のとらや、高島屋の地下のお茶屋さん(たぶん初めて桜茶をのんだところ)。ませた子供だったから、こういったお店に連れて来てもらえるのは大人の仲間入りを許されたようで嬉しかった。 

食の記憶は鮮明で大切だ。いつか私も母になったら、祖母の顔をした母を連れて、母娘三代を更新しにここに来るのかもしれない。変わらない白いカバーの椅子で、キッシュを食べるために。

 

私の背後で、記憶の中の祖母くらいの女性が、『キングダム』の実写化やら『聲の形』の出来やら、はては『聖☆おにいさん』の実写化の話をしている声が聞こえて、空想が終わる。今は鬼籍に入った祖母も、私にとってはおばあちゃんでしかなかったけれど、何か熱狂するもののある一人の女性だったのかもしれない。

祖母が亡くなって早九年。今年はお墓参りに行けなかったけれど、思い出すことで供養になっていればいいな。

そんなことを考えていたら、その女性がアニメイトについて語り出したのでどきどきし出した(いったいどうなってるんだ、関係者か何かかな)昼下がり。ごちそうさまでした。