the happy few

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歌舞伎オタクが宝塚『ポーの一族』を観て沼に転げ落ちた話

宝塚という傍目から見ても明らかに沼、なジャンルにとうとう片足を突っ込んでしまったので、その記念に書き留めておきたいと思う。

 

普段は男の人が老若男女を演じる歌舞伎を観ているのだけど、今回は女の人が老若男女を演じる宝塚に行ってきた。松竹から東宝へ。いずれにせよすごい世界だ。

実は母が宝塚ファンで、小さい時から安奈淳の話を聞かされ、BSか何かでやっていた一路真輝杜けあきのベルばらを見、図書館で宝塚関連のテープ(!)を借りてダビングして聴きまくっていた。挙句小5の自由研究で宝塚の年表を作成した(当時ウィキペディアなんてものはなかったから、今考えると力作だ)。なのに齢26にして初宝塚。小学生の自分に、よかったね、大人になったら宝塚を生で観れるようになったよ!と言ってやりたい。

 

宝塚を観に行こうと突然腰を上げたのは、『ポーの一族』が上演されると知ったときだ。あの世界観をどうやって舞台にするんだろう、という興味。それから完成記念発表会?の動画を観た時の衝撃。たぶんこれは伝説になるな、という予感。割と諦めのいい私にしては珍しく、色々なつてを駆使してなんとか激戦をくぐり抜け、チケットを手に入れた。

 

まず衝撃を受けたのは、東京宝塚劇場の内装。螺旋階段にレッドカーペット……彩度が高い(歌舞伎座比)、そして空間がやたらとキラキラしている。ただの劇場じゃない…と周りを見て若干怯んだ。見事に女性ばかりだ。歌舞伎座にも女性はたくさんいるけれど、まず比率が違う。そして層が。みんなきゃぴきゃぴしているではないか。

老若問わず女性がきゃぴきゃぴしているのはなかなか滅多に拝めない光景だ。なんとなく女子校の同窓会を思い出した。だいたいが花の名前を冠につけた会、孫と祖母ほどの年の差のある女性が同じ空間にいる不思議。そして渦巻く高揚感。

アンテプリマのワイヤーバッグとか、フォションのサブバッグを持つ人が多い傾向にあった気がする(これも歌舞伎座比)。普段すっぴんマスクで歌舞伎座3階に行くこともある私には、舞台を前に胸をときめかす彼女たちが強く輝いて見えた。

 

ただ、ヅカオタの皆さんのキラキラの理由はあっさりとわかった。なんと言ってもキャストたちがキラキラしているのだ。同調効果、あるいはキャストの皆さんのキラキラを吸って生きているのだろう。

ふだん歌舞伎を観てると、「こんっっなに可愛いのに化粧落としたら男の人(往々にしておじいちゃん)ってアリかよ…」と思うような人にたまに出会うのだけど、当然のことながら宝塚は完全に真逆で、「こんっなにスパダリみに溢れているのにメイク落としたら女の子なのかよ…」と呆然とした。これは沼だ。そりゃ出待ちとか盛んに行われるはずだ。人間はだいたいギャップに弱くできているのだ。

 

度々歌舞伎と比較して申し訳ないが、キャストの皆さんの身体そのものの美しさに見惚れた。歌舞伎よりも解像度が高いのだ。

というのは、やはり歌舞伎は着物を着るので身体の線が極端に見えることはあまりない。おしろいを塗るので色白かどうかもそこまで大きな問題ではない。そして、歌舞伎の登場人物で特に太ってる/痩せているの設定が決まっているものはそんなに多くない(思いつくのは力士の役とか)。

 

それに対して、エドガー演じる明日海りおさんの腰回りのほっそいこと。また、メリーベルの色の白さが際立つ。洋服を着ているのだから身体のラインが見えて当然ではあるのだが、役に対する身体性の極め方という点では、さすがタカラジェンヌの皆様……と圧倒された。

 

あとシーラ役の仙名彩世さん、恋に落ちた。声フェチなので…伸びやかで甘やかな歌声、たまらなく好き。

アランについては、気の強さと孤独感が原作通りに描かれていて、耳にかけられた髪が引き金となって射抜かれた。最後のダンスの時の活き活きとした柚香光さんを見て頰が緩まざるをえなかった。

でも何よりエドガーの完成度が全てだと思う。ベルベットのようなくすんだグリーンのスーツの似合い方、本当に青い瞳、幕が降りて照明が落ちた後の颯爽とした歩き方……本当にエドガーが目の前にいる、という暴力的な衝撃を目撃したことが一番記憶に焼きついた。

 

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歌舞伎オタクとしては、舞台回るんですね!とびっくりしたり、花道めいたものがあってテンション上がったり(そこまで出てきてくれると本当に近くて目の前にいるように感じる)、舞台の構造の類似性を見つけては一人楽しくなっていたのだった。

あとパンフレットが写真盛りだくさんで1000円だったのが本っっっ当に衝撃だった。ブロマイド買う必要ないじゃないですか……!

ブロマイドといえば、舞台写真が一枚一枚封筒に入って陳列されているのもいい。歌舞伎はワゴンにびっしり詰められた写真を、係員の方が手袋をして一枚ずつ手に取って確認してくださるのだが、確認される度に気恥ずかしくなるので宝塚方式の方がいいかも…。係員さんと「あらあら仁左衛門さんばっかり…」「はい…」「うふふ……」みたいな会話をするのも楽しみの一つではあるが。

 

決断力と行動力は無駄にあるので、帰る道すがらブルーレイの購入を決意して、宝塚友の会の入会手続きを済ませたのだった。次はエリザベートを観たいです!

 

追記:宝塚オタクに宝塚の話をしたら、お茶会に誘ってくれた。広がるオタクの輪…(そして課金対象)。