デパコスというドーピング

年に4回くらい、どうしてもデパコスを買いに行きたくなってむずむずする時期が来る。大体は季節の変わり目で肌の調子が不安定だとか、ネットで新しい商品のパッケージを見てそれが可愛いのでほしいだとか、そういったきっかけだ。

 

すっぴんが可愛い女の子のことしか信用していないすっぴん至上主義者ではあるが、とはいえいざ自分のこととなると背に腹は代えられないので、お化粧というものをそこそこ嗜むようになった。

真面目に始めたのは大学に入ってからだったので、遅すぎも早すぎもしないだろうというところ。「化粧品と言えばシャネル」と言って憚らない母の影響で、あまりプチプラコスメは買わない主義だ。

 

化粧をすることと自炊することは私にとって同じジャンルに入っていて、どちらも自分を大切にしている/する余裕がある、と実感するための手段だ。

化粧といってもスキンケアに力を入れるだとか生活リズムをできる限り正しくするなど、その前後のフェーズも含まれているから、言わば「丁寧に暮らせているという実感」を得るために行うルーティンである。

だからデパコスを買うことは、私にとっては少しいい塩、オリーブオイルやドレッシングを買うとか、たまにジャンポールエヴァンのチョコレートを買うだとか、そういった購買行動と同じカテゴリに属している。

 

そういう位置づけであるから、ときどき買い足す化粧品はデパコスである必要がある。わけのわからないフレーズを繰り返すBGM、赤字で強調された値段、ぺらぺらのPOPに囲まれた、できる限り生産コストを落とした企業努力のたまものには、そういう効果はないからだ。ドラッグストアはあくまでも「必要なものを買い足す場」でしかない。

こちらを値踏みするような一瞥をくれる美人のお姉さん(化粧濃いめ強め)に綺麗な声で唆されて、そのパッケージを自分のコスメポーチに収納するところまで想像しながらタッチアップしてもらって、プロの手でいつもよりちょっと綺麗にしてもらうまでが、デパコスを買う効用だと思う。あと可愛いロゴのついたきちんと分厚い紙袋だってほしい、特に何かに使うあてがあるわけではないけれど。

 

自分の機嫌がどんどん高価になっていっている気もするが、自分で自分の機嫌を取るための一つの手段であることは確かだ。同時に、お金を稼ぐことのモチベーション維持装置でもある。

というわけでどなたかおすすめのパウダーファンデを教えてください。