いと短き秋のこえ
慎ましやかさがないくらいに突然秋がやってきましたね、東京。残暑に対する秋の戦闘力の強さを感じるレベル。普段はもっとじわじわと、気づいたら浸食されているようなゆるやかな波の寄せ方なのに、今年は襲来という言葉すら似合う。それゆえになんだか季節の乗り換えがうまくいきません。
無理やり秋色リップをつけても、ちょっとトーンの低いお洋服を身に着けても、「え、まだ夏?いやもう秋?」とすこし浮ついてしまう時期。せめて日が暮れたら秋と決めつけて、本を読みながら夜更かししたいなと思ったり。
そこで、一度読んだけれど、今また読みたい本について書いてみることにします。
- 食欲が増す言い訳を、季節以外にも求めたい
夏があっさり去るのに文句を言いつつも、栗とか梨とか好きな食べ物の多い秋が来るのはうれしい。それに、これだけあっさり去られたので夏に名残りがあるように思うけれど、寒くなっていくのはなんだか身が引き締まる感じがして好き。
食いしん坊なので、文字からも食事を摂取したい。登場人物も、エッセイストも、おいしいものを目の前にするところから始まる物語たち。
女流作家4人によるアンソロジー。ヨーロッパの国々とそこでの人間関係、そして食事。同じ食卓を囲むということは、同じ成分を体内に取り入れていることと同じで、つまり数パーセントくらいは同じ人間になっている、と言えるのかもしれない。そんなことを考える本。
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/10/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 森茉莉,早川暢子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/01/01
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- 自分ではない誰かの関係性の疑似体験、あるいは迷い込む
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/09/29
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- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/16
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- 作者: 幸田文
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/08/02
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気づいたら自分の中にしっかりと根を張っている作品ばかりを挙げてしまった。
食べてきたもので人が構成されているのと同じように、摂取してきた文字によっても人の構成は変わると思う。誰かの秋の夜長のお伴ができますように。