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わかりやすい恋

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「で、新婚どう?」のこたえ

結婚式を終えた直後の先週一週間、周りに「毒気が抜けてる」「空気と髪ツヤと肌艶が綺麗…」と言われ続けたけれど、さすがにそろそろ汚染されてきたような気がする。

 

「結婚して何か変わった?」とよく聞かれるのだけれど、数ヶ月前から一緒に住んでることもあって、別になにも変わらない。朝起きて隣にいて、同じ家に帰って、同じベッドで眠る。こんな日をあと何万日か繰り返すのだと思う。それが日常。

変わったことは一部における名字と(会社では旧姓で呼ばれているし、カードや銀行の手続きもまだ出来てないのでいちいちどちらで書くべきか混乱する)、気持ちだけ。

 

もう誰かと恋愛で面倒な思いをすることは(きっと)ないのだという安堵が、思っていたより大きかった。

これから出会うほとんどの人たちは、左手薬指を見て私を対象外にするだろう。これまで何かあった人たちも、きっと倫理を越えてまでもうどうこうなりたいとは思わない、これまでいくらもあったタイミングを逃し続けたのだから。

だから私はもう、恋愛で煩わされることはないのだ。好きな人に振り向いてもらいたい、連絡していいかなあ、会いたいのに会えない、両思いのくせに報われない、そんないろいろに気持ちを占拠されることはもうない。その事実に、妙にすっきりしている。

 

関係は常に獲得し続けなければ腐るものだと思っているけれど、たぶんほんとうは、誰かの彼女という役割は私には億劫だったのだ。定期的な連絡や愛情表現、意思表示、そういった義務から解放された。厳密にはもちろん続けなくてはならない努力もあるけれど、ある意味私は、結婚という制度に甘える気満々なのだろう。

 

結婚して戸籍や指輪や名字に縛られて、こんな気持ちになれるとは思っていなかった。まだまだ何が起こるか何を感じるかわからなくて、なんだかすがすがしく、わくわくする春の始まり。