いつかのための冷凍保存

時が流れるのが早すぎて、とくに身体が追いつけていない気がする。街ですれ違う人の服装が変化している。もうふわふわの毛に包まれる人はあまりみない。カレンダーは3月になって、すぐに終わるひな祭りをもうすぐ迎える。もう2017年の3月だよ。

 

2017年の3月を、2007年の私はどう予想していたんだろう。あの頃は高校生で、私は理系に進学してどこかの研究員になっていると思っていた。23歳で結婚するとなんとなく信じていた。23歳になって、社会人1年目(理系だったらストレートでも院生)で結婚するなんてなんで思ってたんだろう?と昔の自分の思考回路を疑った。

 

私は今週末結婚式を挙げて、来週頭に入籍する。独身の水曜日は最後だ、なんてことを考えながら、カウントダウンを始めた。結婚式を終えた後の自分、入籍した後の自分がどう思っているか、まるで想像がつかない。あんがい何も変わってなくて、実感がないなんてこぼしているかもしれない。もしくはまるで別人のように生まれ変わってしまうのだろうか?

 

「今どんな気持ち?」とこの前、母に聞かれた。たぶん心の中をのぞいたら、心配や不安や寂しさや郷愁、いろんなものが綯い交ぜになっているはずなのだが、いまの私はそれを言葉にする術を持たない。無意識のうちに、自覚しないようにしているのかもしれない。不可逆へ進むことへの不安を。触れられれば風船のように割れそうなそのあやうさを。

 

もう3月だ。別れや新しい一歩にふさわしい、使い古された春。いつかこのときを懐かしむだろう私のために。